法は家庭に入らずという言葉を聞いたことのある方も多いと思います。
それが原因で、家族内でトラブルが起きても、警察がそれ以上介入できない、
なんてことをニュースで聞きます。
刑法にこの思想を元にしている法律があります。
親族相盗例という規定です。
これは、「配偶者、直系血族または同居の親族間」において窃盗の罪(未遂を含む)を犯した者は、
その刑が免除されるものです。(刑法244条1項)
なお、この規定は、親族でない共犯については、適用がありません。
つまり、子が悪い友達と一緒に父親の家で盗みを行えば、子は窃盗の刑が免除されますが、
友達の方は窃盗罪で処罰されることになります。
それに、親族関係は占有者と所有者の双方に存在することが必要です。
これは、例えば、父親が使っていた時計を、子が盗んだが、その時計は友人から借りたものだった場合です。
そういった場合、もはや、家庭内の問題を通り越してしまっているので、
刑が免除されることはありません。
また、「配偶者、直系血族または同居の親族間」以外の親族との間に関しては、
告訴が無ければ公訴提起できないようになっています。
普通は、何か犯罪が起こった場合、被害者が頼まなくても治安の為に警察は動きます。
しかし、この場合、警察は動いてくれません。
この親族相盗例は、詐欺罪、恐喝罪などにも準用されています。
このように、家族内での犯罪に関しては、刑法はあまり立ち入りませんが、
できれば、家族内ではこのような揉め事がなく、平和に暮らしたいものですね。
(増田)
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