「望みを抱いて喜ぶ、ということ」
失敗して落ち込んだり、希望を持てず絶望的になった時...皆さんにとっての「特効薬」はあり
ますか?
落ち込む時は徹底的に落ち込まないとその後の浮上も中途半端になるという持論の元、
私は、マイナスの出来事に遭遇した場合は全力で落ち込むことにしています。
ひとしきり落ち込んだ後、浮上する為に登場する必須アイテム...特効薬となるのが小説「赤毛のアン」です。
カナダのプリンスエドワード島を舞台に、孤児で赤毛の少女アン・シャーリーが、老兄妹の
マシュウとマリラに引き取られるところから物語は始まり、そこで繰り広げる数々の失敗と
成長が、美しい自然の描写と共に展開されていきます。
アンが巻き起こす数々の失敗エピソード。例えば...
・親友をお茶に招待し、誤ってお酒を飲ませてしまい大騒動に。
・お客様に痛み止めの水薬入りのケーキを食べさる。
・友達の挑発に乗った結果、屋根から落ちて足を骨折。
・赤毛を黒髪にしたくて行商人から買った毛染め薬を使った結果、緑色の髪になる。
などなど。
思わず笑ってしまうものばかりですが、アン本人はいたって「真面目に失敗」しています。
そして、失敗の後に語られるアンの言葉はどれも明るく希望に満ちています。
それが最も端的に表れている台詞が
『明日はまだ何の失敗もしない新しい一日だと思うと、ほっとするわ』
初めてこの台詞を読んだ時、自分自身との発想の違いに愕然としつつも強烈な憧れを
抱きました。こういうふうに考えられたらどんなにいいだろう、と。
聖書に「望みを抱いて喜び、患難に耐え、絶えず祈りに励みなさい」という一節がありますが、
それを体現するような言葉です。
アンは数々の失敗をしつつも、それだけでは決して終わりません。
毎回、何らかの形で一つ教訓を見つけて成長していきます。
何があっても最後には明るく、そして面白おかしく自身を客観的に見つめて前に進んでいく
アンに、私はいつも救われています。
真の知性とはユーモアのことなのではないか。
そんなことを考えさせられる作品です。
(大竹)