おすすめ書籍のご紹介、今回は
『冒険図鑑―野外で生活するために』福音館書店
です。
この本を始めて手にしたのは小学校一年生の時でした。
元々は母が兄に与えたものでしたが、兄よりも私の方がどっぷりとはまってしまい、
この年齢になっても一月に2?3回は取り出して眺めています。
私は決してアウトドア派ではないのですが、何故この本にこれ程までに魅了されるのか?
答えの全てが冒頭の「はじめに」という文章の中に詰まっています。
"行動に移す前は、慎重に計画を立て、準備をして、危険はできるだけさけなくてはいけない。
そのうえで残る1%の予想もつかない危険に対して勇敢に立ち向かうこと、それがこの本で
いう冒険なのだ。"
...シビれます。
この考え方は、「野外で生活するため」という目的よりも更に大きなものを内包している気が
してなりません。
結局のところ、私がこれをいまだに愛読している理由は、仕事を始めとした人生全般に通
ずる金科玉条。
そのように感じるからなのだと思います。
無い物ねだりは人間の常ですが、私は人生全般...筆頭である仕事においても、「慎重に
計画を立て」「準備をして」「予想もつかない危険に対して勇敢に立ち向かう」ことが出来て
いるとは言い難い状況です。
だからこその憧れであったり、はたまた自身に対する鼓舞や戒めであったりといった要素が
たっぷりと染み込んだこの本に惹かれるのです。
堅苦しいことを書いてしまいましたが、本書は単純に図鑑としても非常に質の高い、素晴らしい
一冊です。
写真は一切使われていませんが、細かいタッチで丁寧に描かれる沢山の絵が、かえって外の
世界への想像力を掻き立てます。
ちなみに、小学校時代の私が一番好きだった項目は『野外でのトイレの作り方』。
外で急にお腹が痛くなったらどうしよう、という不安を常に抱えていたあの頃の私は、これを読んだことで大いに安心できました。
予行演習と称して実際に自宅の庭にトイレ設営をした結果、母から盛大なお説教を浴びたことも良い想い出です。
(大竹)