皆さんこんにちは。
法律の世界では難解な用語や、日常と違う意味で使う用語が多々あります。
これらを皆様にわかりやすく解説していく「知っておきたい法律用語」のコーナーです。
今日は「未必の故意」という用語を解説します。
「みひつのこい」という言葉を聞いたことがありますか?
学生時代、わたしはこの言葉を「密室の恋」と聞き間違えて、恥ずかしい思いをしたことがあります。
「未必の故意」とは刑法学においてよく用いられる言葉です。
「殺してやる!」という積極的な意図をもちながら人を殺すのは当然「故意あり」です。
のみならず、「殺すつもりはないが、死んでしまってもしょうがない」という消極的な意図も「故意あり」と認定されてしまうのです。
積極的な意図がないから故意ではなく過失にすぎないんだという言い訳が成り立ちにくい論理となっています。
殺人犯はよく「殺すつもりはなかったんだ」と言うそうです。
しかし、刑事裁判においては「たしかにそうかもしれないが、死んでもしょうがないと思って行動に出たんでしょ」ということで故意が認定されることが多いみたいですね。
故意か過失かで刑事罰の重さには大きな開きがある以上、「故意あり」と認定されてしまう未必の故意を理解することは非常に重要といえます。
(栗原)