皆さんこんにちは。
法律の世界では難解な用語や、日常と違う意味で使う用語が多々あります。
これらを皆様にわかりやすく解説していく「知っておきたい法律用語」のコーナーです。
今日は「不作為犯」という用語を解説します。
こんな事例を思い浮かべてください。
「Xは生後間もない赤ちゃんがいるにもかかわらず、『泣き声がうるさくてイライラする。この子が死んでしまえば静かになる。』と考え、一切ミルクをあげなかった。その結果、赤ちゃんは死亡した。」
さて、Xにはどんな罪が成立するでしょう?
このような場合、故意の内容等に応じて、
Xには保護責任者遺棄致死罪(刑法219条)や殺人罪(刑法199条)が成立するとされています。
ここでまず、刑法の条文を見てみましょう。
保護責任者遺棄致死罪は「保護をしなかったときは・・・に処する。」と規定し、
殺人罪は「人を殺した者は・・・に処する。」と規定しています。
普通の読み方からすると、保護責任者遺棄致死罪は「保護」という行動をとらなかったこと、つまり不作為(何もしなかったこと)が犯罪となり、殺人罪は「殺した」という作為(何かしたこと)が犯罪となるはずです。
219条は本来的に不作為を予定しており、199条は本来的に作為を予定しているのです。
上記のXは、自分の赤ちゃんに一切ミルクをあげなかった、すなわち、「何もしなかった」だけなので、「何かした」を予定している殺人罪が成立するかが問題となりますが、判例・学説ともに成立するとしています。
不作為であれ作為であれその危険性は変わらないですし、何もしないということも「行為」の一類型だと説明すれば足りるからです。
刑法には不作為を予定した条文、作為を予定した条文がちりばめられているので興味を持たれた方は是非探してみてください。
(栗原)
【刑法の参考条文】
(殺人)
第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
(保護責任者遺棄等)
第二百十八条 老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。
(遺棄等致死傷)
第二百十九条 前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
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