成年後見制度とは、ご高齢者や障害者等、精神上の障害をお持ちの方のために、専門家が財産管理や身上看護をする制度です。
成年後見制度は大きく分けて法定後見と任意後見があります。法定後見の場合、精神上の障害が発生した際に、ご自身のために家庭裁判所が専門家を選任します。これに対して、任意後見の場合、ご本人が元気なうちに誰に管理を任せるか決定することができます。
【成年後見制度のなりたち】
成年後見制度の前身は「禁治産・準禁治産宣言」の制度ですが、この制度は主に財産を守ることに重点が置かれていました。しかし、高齢化社会に移行するに伴い、財産の維持だけではなく管理をしながら、より良い生活を送れるよう支援をする、という必要性が大きくなってきました。それに見合う制度として、平成12年4月から新しく成年後見制度が施行されました。また、新しい制度では、本人の希望を尊重するよう配慮がなされています。もちろん高齢者だけではなく、知的障害を持つ人も利用できる制度です。
【後見登記制度】
禁治産・準禁治産者であることは従来戸籍に記載されていたので、禁治産・準禁治産者であることが戸籍を見れば一目瞭然でした。成年後見制度ではプライバシーに配慮し、後見登記制度に改められました。本人の住所・氏名、後見等が開始されたこと、後見人の住所・氏名、などの後見に関して必要な情報を登記し、登記事項証明書によって証明されます。(法務局で交付されます。1通800円の印紙代がかかります。)登記されていない人は、登記されていないことの証明書を交付してもらえます。
(同じく法務局で1通400円の印紙代がかかります)。
【成年後見制度の内容】
成年後見制度は、いくつかの種類に分かれています。
◆法定後見制度
すでに判断能力が低下している場合の制度。判断能力の程度により「後見」「補佐」「補助」の3種類に分かれます。
・成年後見
「事理弁識能力を欠く常況にある人」日常の買い物等も一人ではできない人が対象
・保佐
「事理弁識能力が著しく不十分な人」日常の買い物程度のことはできても、不動産の売買等重要な取引行為は一人ではできない人が対象
・補助
「事理弁識能力が不十分な人」不動産の売買等重要な行為を、一人でするには心身の状態に不安のある人が対象
◆任意後見制度
法定後見制度が、本人が判断できなくなってからとる手段であるのに対し、任意後見制度は、判断できる段階で後見人と後見の範囲を自分自身で決めておく制度です。