モータースポーツの花形であるF1レースが3月29日に開幕しました。300キロを超え
るスピード、抜きつ抜かれつの攻防で、全世界で多くのファンを惹き付けています。
しかし、金融危機の影響はF1の世界にも忍び寄っています。トップチームで400億
円、それ以外のチームでも100億円と言われる巨額な資金が運用資金として必要とな
っており、チームを運営していくには、スポンサーからの融資が必要不可欠です。と
ころが、昨今の全世界的な金融危機の影響で、複数の金融機関が撤退の意思を表明し
たため、予算カットをしなければ、この先運営が難しくなってきたのです。
実際に、日本のトップクラスの自動車メーカーであるホンダのF1撤退は、F1業界に
激震を広げました。ホンダは、1962年からF1に参戦しており、多くの優勝経験を誇
るアイルトン・セナが乗っていたマクラーレンチームの車のエンジンは、ホンダが開
発したものが使用されていました。エンジンは、本田技術研究所が開発していて、そ
の技術は市販車にも使用されており、ホンダ車の人気の要素のひとつでした。しかし、
近年のホンダの成績不振と金融危機による自動車販売の減少による資金難で、撤退を
余儀なくされたのです。
そうした中で、F1チーム協会(FOTA)は、2010年までの参戦コスト半減を
目標に、レース走行距離・時間の短縮やエンジン開発費の上限設定などを骨子とする
合理化計画で合意しました。しかし、F1の盛んなイタリアでは、「レースを短くする
と抜きつ抜かれつの場面が減り、面白くなくなる」「協会はファンの心理からどんどん
離れていっている」などの指摘があり、運営とレースの迫力のバランスを取るのが難
しい状況になっています。このような世界的な経済危機が早く収まり、今までどおり
迫力あるレースを楽しみたいものです。
(大石)