会社は法人なので、一般的に権利・義務を有しますが、一部制限されることがあります。
性質による制限
会社は性質上、肉体をもたないなので、生命・身体に関する権利・義務、身分法上の権利・義務を有しません。たとえば、親権、扶養請求権などです。
法令による制限
会社は法律で権利・義務を特別に認められたものなので、法令でその権利・義務を制限することも可能です。たとえば、清算会社の権利義務は清算の目的範囲に限られます。
目的による制限
会社に法人格を与えたのは、会社の目的の達成を容易にするためなので、会社は定款の目的範囲内において権利・義務を有します。しかし、これを貫くと、会社に都合の悪い取引を目的範囲外の行為として責任を負わなくて済むことになってしまい、取引の安全を害します。そこで、『定款の目的範囲』には、目的たる事業遂行のために直接的間接的に必要である事項も含まれることとしています。必要な事項か否かは、代表者の意図を問わず、客観的・抽象的に判断することで、取引の安全を図っています。