1 登記がない場合の効力(消極的公示力)
登記すべき事項につき、いまだ登記がない場合は、その事項を善意の第三者に対抗することはできません(908条)。取引関係にある第三者を保護するためです。この場合、過失の有無は問いません。
2 登記がある場合の効力(積極的公示力)
登記すべき事項につき、登記がされた場合は、その事項を第三者に対しても対抗することができます。ただし、天災や伝染病による隔離など、正当な事由あるときには対抗することはできません。
3 不実の登記の効力(公信力)
故意又は過失により真実の法律関係に合致しない事項を登記した場合は、その事項が不実であることを第三者に対抗することはできません。これは、外観法理又は禁反言の原則に基づくものなので、申請権限者による申請か否かが重要になります。そこで、法は、登記の申請権限者には印鑑を登記所に届け出ることを義務付け、申請の際の押印を照合することで申請権限者による申請かどうかを確認しています。
【公信力の要件】
? 正当な申請人の申請により登記されたこと
? 不実な事項につき登記されたこと
? 故意又は過失により登記されたこと
※ 登記官の過誤や虚偽の申請人により登記された場合には認められません。