借金が多くて相続財産がトータルでマイナスになるおそれがある場合、とりあえず相続財産で債務を清算し、残った財産があれば承継するという選択もすることができます。これを、限定承認といいます。
手続
相続開始後、自己のために相続があったことを知ったときから3ヶ月以内に財産目録を調整して家庭裁判所に申述しなければなりません(民923条)。相続放棄と異なり、相続人全員で申述しなければなりません。ただし、相続放棄している者は除外して申述することができます。その後、債権者や受遺者に公平に分配するため、清算手続に入ります。
効果
債務を差し引いた相続財産のトータルがプラスであれば財産を取得することができます。逆にマイナスであっても自己の財産から債務を弁済する必要はありません(民922条)。つまり、相続人の責任は相続財産を限度とするところまで圧縮されるのです。
限定承認後、一部の相続人が法定単純相続に該当した場合、その相続人は自分の相続分に応じた分だけ単純承認者として責任を負います。